2014年11月20日 朝刊

 上場企業約1380社の本年度上半期(4~9月)の最終的な利益が14兆3070億円になり、過去最高を記録した。だが、半分の7兆円はトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループなど全体の2%程度にすぎない上位30社で占めている。中小企業の景況感は一向に回復しないうえ、大企業の中でも業種や円安の恩恵の有無で業績の格差は広がっている。 (大森準、石川智規)

 安倍晋三首相は十九日、経済界と労働団体の代表者を首相官邸に集めた政労使会議で「景気回復の今こそ賃金を引き上げるチャンスだ」と述べ、来春の賃上げを要請した。二年連続となる要請に、経団連の榊原定征(さだゆき)会長(東レ会長)らは受け入れる意向を示した。

 だが、賃上げをするための利益は大企業の一部に集中する。中小企業は「地方や下請けに(景気回復の)恩恵が届いていない」(全国中小企業団体中央会の鶴田欣也会長)。賃上げは「一回はできるが、利益がないと二回、三回とはできない」(同)と訴えている。

 上場企業の利益は、SMBC日興証券が東京証券取引所第一部に上場する三月期決算企業のうち、十九日までに発表した千三百八十一社の中間決算を集計した。純利益の合計は十四兆三千七十億円で、二〇一二年度上半期の二・二倍に増えた。

 上位三十社の純利益の合計は七兆二千二百四十二億円。政府・日銀による経済政策に伴い進行した円安で、海外収益が膨らみ利益を押し上げた。自動車や電機などの輸出関連企業のほか、海外にも事業基盤を持つメガバンクや商社が並んだ。二年前に、一社も上位には入らなかった電機は、三菱電機や日立製作所が入った。東京電力は人件費削減や修繕工事の先送りなどでコストを減らし、利益を増やした。

 一方で、円安により原材料の輸入費用が増える素材メーカーや小売業などは減益が目立っている。加えて、原材料高を価格に転嫁できない中小零細企業の円安を理由にした一~十月の倒産件数は、前年の二・八倍に増えている。

 SMBC日興証券の太田佳代子氏は、中間決算の結果から政府・日銀の経済政策が大手の輸出企業に恩恵をもたらしていると分析。一方で「円安のデメリットが大きい業種は厳しい」と、大企業でも広がる格差を指摘している。

<純利益> 企業が半年間や1年間など一定の期間に稼いだ最終的な利益。株主に支払う配当金や設備投資、賃金などに充てる資金になる。売上高から人件費や原材料、広告宣伝などの経費を引いたのが「営業利益」。そこから本業以外の損益分を除いたのが「経常利益」で、さらに法人税などの税金を引いたものが「純利益」。「税引き後利益」ともいわれ、企業の業績を判断する材料になる。

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